事実婚と法律婚の違いとは?

結婚と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、役所に婚姻届を提出する「法律婚」でしょう。

しかし近年では、「結婚=届け出を出すこと」だけではなく、“事実婚”という新たな夫婦のかたちを選ぶ人も増えてきました。

本記事では、法律婚と事実婚の違いを制度・生活・社会的な面から整理し、自分たちに合ったパートナーシップの形を考えるきっかけを提供します。

法律婚とは?

法律婚(法的婚姻)とは、市区町村に婚姻届を提出し、法律上「夫婦」として認められる関係です。

民法上の婚姻として法的に保護され、戸籍に記載されるため、社会的にも最も一般的な結婚の形です。

法律婚の主な特徴

  • 夫婦として戸籍が一緒になる
  • 夫婦間の扶養義務が生じる
  • 相続権が自動的に発生する
  • 税法上の優遇措置(配偶者控除など)がある
  • 健康保険や年金などで配偶者として認められる

事実婚とは?

事実婚とは、婚姻届を提出せず、実際に共同生活を送りながら“夫婦同様の関係”を築いている状態を指します。

住民票上では「同居人」または「妻(未届)」「夫(未届)」と記載され、形式よりも実態を重視する結婚のかたちです。

事実婚を選ぶ理由

  • 姓を変えたくない(夫婦別姓を希望)
  • 法的な手続きに縛られず、自由な関係を望む
  • 再婚への心理的ハードルを下げたい
  • LGBTQ+のカップルが法的婚姻を選べないケース(日本では同性婚は未承認)

法律婚と事実婚の比較

項目 法律婚 事実婚
戸籍 夫婦で同一戸籍 別戸籍(戸籍上は独身)
原則として夫婦同姓 各自の姓を保持できる
相続 自動的に発生 遺言書が必要
税制 配偶者控除あり 原則対象外(例外あり)
社会保険 扶養に入れる 制度によって異なる

事実婚のメリット・デメリット

メリット

  • 夫婦別姓が維持できる
  • 離婚時の手続きが簡単
  • 形式に縛られない自由な関係性

デメリット

  • 法的な保障が弱い(特に相続・税制)
  • 周囲からの理解が得られにくいことも
  • 万が一のトラブル時に不利になる可能性

事実婚を選ぶ際にしておきたいこと

  • パートナーシップ契約書の作成(法的効力を補完)
  • 遺言書の準備(相続を確保)
  • 周囲や家族への説明(トラブル回避)

まとめ

結婚のかたちは、法律婚か事実婚かという“選択”ができる時代になっています。

制度的なメリットを重視するなら法律婚自由や個人の尊重を優先したいなら事実婚という考え方もひとつ。

大切なのは、どちらの形を選ぶにしても、お互いが納得し、尊重し合える関係を築けることです。

「結婚=こうでなければならない」という固定観念にとらわれず、ふたりにとって一番自然な形を選んでいきましょう。